3.災害の特徴について

  時間雨量100mmを越える豪雨であったにもかかわらず、道路斜面や盛土の被害は少なか

った。もちろん通行止めの区間は大きな崩壊等が発生していると推察される。しかしながら、

もう少し斜面崩壊が発生していると予想していたが、古いモルタル吹きつけ斜面やその上部

の自然斜面なども意外に目立った崩壊はみられなかった。巡回した範囲では、近年改良さ

れた道路ではほとんど斜面崩壊は発生していなかった。

 斜面崩壊は、増田層強風化部やローム層分布域でのすべり崩壊が特徴的であった。斜

面上部は平坦な畑地であり、道路までが斜面である場合、畑地の端からスプーンでえぐった

ように崩壊していた。基本的には表層崩壊である。もともと斜面の高さが低いので、これらの

崩壊地では十分に片側通行が可能であった。

 さて、国道58号でも通行止めとなった区間が2ヶ所ほどあったが、これらはすべて小河川

の横断部である。すなわち、記録的な豪雨により、橋梁や暗渠が流路をふさぐ形になり、橋

梁上流で河川が氾濫したことによる被災が特徴的であった。

 橋梁上流で氾濫した流水は、道路を乗り越えて流下し、橋台の背後(道路)を侵食するとと

もに、上・下流の護岸を崩壊させ、さらに、護岸背後の自然斜面も侵食していた。橋梁上流

で河川が曲流するところでは、自然斜面に及ぶ河岸の崩壊がみられた。砂や泥を多く含む

濁水は、本来の河川を乗り越え、橋梁部や曲流部で縦横無尽に暴れまわったものと想像さ

れる。

 種子島は、細長い島であるので、河川の延長も2〜5km程度の小規模な河川が多く、長く

ても10kmを越える河川はない。通常は、流量も少ない。しかし、種子島北部のように、熊毛

層群の山地に源を発する河川は、記録的な豪雨により流域の雨水を集め、直ちに下流低

地部に達したため、容易に氾濫したものと考える。特に低地部が砂丘砂層の場合、被害が

大きくなっていた。

 以上のように河川の氾濫による被災が、今回の豪雨災害の特徴と考えられる。